スリムファン
詳 細
建築に携わって解決したいと思っていたのが天井用に代表される換気設備です。今一般的に使
われているダクトに接続する換気扇は理論上「送風機」に入る構造です。ダクトを使い空気を送る
場合は様々な抵抗が発生しますから「圧縮機」の必要があります。空気や水などの流体の理論とし
てはベルヌイの定理というものが有ります。しかし、今のダクト接続用の換気扇ではベルヌイの定
理は成り立ちません。
そこで理論通りの換気扇を開発してみようと考えました。
ダクト用換気扇のファンは遠心ファンを使用しています。中心部で吸い込んだ空気をファンの
回転で空気に遠心力を働かせファンの外側に押し出す考え方です。しかし、ファンの中心部とファ
ンの外周部分ではその位置に於ける円周の長さが外側の方が多くなります。結果として、ファンの
羽と羽の間隔は外側の方が広くなります。その為に外側に押し出された空気の圧力は中心部分より
低くなります。簡単な計測で中心部の気圧を(1)とした場合外周付近の気圧は(0.6〜0.7)になり
ます。ダクトを通し外部に空気を送るためには様々な抵抗が有ります。その抵抗に負けないように
圧力を上げる事が必要なのに逆に圧力が下がっている、それを補うために回転を多くして風に勢い
を付けているのが今の換気扇の現状です。
ですから音がうるさくダクトが長いと排気できなくなるのです。
そこで私はファンの風の流れる方向を曲げてみました。それにより吸気位置より排気位置に於
ける羽と羽の間の面積を小さく出来ます。つまり空気が圧縮されるわけです。そしてファンの部屋
の出口にディフィーザーという分離羽を付けファンの部屋とは別の部屋になっている風洞に空気が
押し込まれるようにしました。その事で、狭い空間から広い空間に空気を押し出した場合、広くな
った割合で空気の速度が落ちると共に気圧が上がるというベルヌイの定理が働くようになるのです。
今までのダクト用換気扇が流速で風を送る機構上管内抵抗が増えダクトの中の面積の半分以下
しか実質的に空気が流れない事が、圧力が上がる事、流速が遅くなる事でダクト面積の多くを空気
を送る事に有効に使えるようになり、結果として換気扇の音が小さくなる事、ダクトの長さを長く
できる事、つまり同じ長さのダクトでも風量を多く出せる事となります。
スリムファンは排気口が一つ、吸気口が5つ付いています。つまり一本の排気ダクトで排気し
5が所の換気を行おうと考えているのです。一般的にマンションの玄関から通じる廊下の上に排気
ダクトを通す例が多いですから、その位置にスリムファンを設置し、60φのフレキダクトで5部
屋の24時間換気を行います。
吸気用のダクトの径が小さいので配管の自由度が上がります。また既存のマンション等で換気
の無い居室で換気を行う事が大きな工事を伴わなく可能になります。 |